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COLUMN

2020.07.07

グループ通算制度について(3)

3月決算法人を例にして、連結納税を2021年4月1日開始事業年度から先行適用し翌事業年度から通算制度を適用する利点・欠点等を以下に検討したいと思います。

1.親法人に欠損金がある場合

経過措置により、連結納税を適用している親法人が通算制度を適用する場合、連結親法人の連結欠損金個別帰属額は通算制度において特定欠損金額以外にみなされるため、通算可能な繰越欠損金として通算グループに持ち込み可能になります。親法人の繰越欠損金が多額であるため今後数年間親法人自身の所得だけでは利用しきれないにもかかわらず所得が発生することが予想される子法人が存在する状況で、連結納税開始時に子法人に時価評価対象法人がある、または、その子法人に切り捨てられる繰越欠損金がある等税務上不利が生じることが無ければ、2021年4月1日開始事業年度から連結納税を適用し、2022年4月1日開始事業年度から通算制度適用することが考えられます。その場合は、2020年12月31日までに連結納税の選択届出を国税庁長官宛に提出する必要があります。連結納税と通算制度の2制度を短期間に適用することになるので事務負担は増加します。

2.子法人に時価評価対象法人(繰越欠損金が切り捨てられる)がある場合

連結納税適用により子法人に切り捨てられる開始前繰越欠損金額が多額にある場合は、連結納税の適用はせず、2022年4月1日開始事業年度以降に通算制度を適用することが考えられます。
通算制度では、開始時に親法人と子法人の完全支配関係が見込まれる場合、連結納税制度下では時価評価対象法人になってしまう子法人が時価評価対象から外れます。
この時価評価除外法人の開始前繰越欠損金は原則として切り捨てられませんが、特定欠損金になりその子法人自身の所得にしか利用できません。