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COLUMN

2020.06.05

グループ通算制度について(1)

令和2年3月に、連結納税制度に取って代わる、いわゆる「グループ通算制度」を定めた「所得税法等の一部を改正する法律」が国会において可決成立し、税額計算が煩雑である、税務調査後の修正・更正に時間がかかり過ぎる、といった問題を抱える連結納税制度の見直しが行われました。

この制度は、青色申告法人の令和4年4月1日以降に開始する事業年度から適用されますが、例えば、3月決算法人である親会社に多額の繰越欠損金がある一方100%子会社には所得が発生している場合や、現在進行期に新型コロナウイルス感染症の影響により親会社に多額の欠損金が発生する可能性があるためグループ会社間の損益通算を検討している場合は、来年の4月1日開始事業年度から現行連結納税制度を適用すべきか、それとも、再来年の4月1日開始事業年度から新制度である「グループ通算制度」を適用するべきかについて遅くとも今年の12月末までには意思決定をする必要があります。 最適な意思決定をするためには、グループ各社の状況を基に両制度を適用した場合の有利不利の定量分析を早急に行う必要があります。

次回のコラムから数回に分けて、この「グループ通算制度」の概要について、現行の連結納税制度との比較をしながら解説し、どちらの制度を選択するべきなのかについて実務上留意すべき事項を検討したいと思います。