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COLUMN

2020.03.05

非上場有価証券の評価損

金融商品会計基準が上場会社の株式の評価損の計上について新たな基準を設けたことに応じて、国税庁が平成21年4月に、「上場有価証券の評価損に関するQ&A」を公表し、株価の回復可能性の判断基準を示しました。上場株式の事業年度末における株価が簿価の50%相当額を下回る場合の株価の回復可能性の判断基準として一定の形式基準(回復可能性に関する判断基準(例えば50%下落基準)に対する監査法人のお墨付きとその継続適用)を設け、税務上その基準に基づく損金算入の判断は合理的なものとしました。

非上場有価証券の評価損が損金算入されるには、①発行法人の「資産状態が著しく悪化」したこと(資産状態悪化)、及び、②有価証券の「価額が著しく低下」したこと(価額低下)の二つの要件を満たす必要があります。
上記②の要件を満たすには、株価が低下したという事実だけでは足りず、株価の回復が見込まれないことが必要です。その判定に、上述のQ&Aが適用されるかどうか税務当局の見解はまだ公表されていません。
従って、非上場会社、特に、子会社・関連会社有価証券の評価損の損金算入を実現させるには、上述の形式基準を設けてそれを継続適用させるのみならず、親会社のそれら子会社等に対するグループ経営方針の有無、外部経営環境の悪化の常態化、及び、事業計画等を勘案して株価が回復不能であることの実体を立証する準備が不可欠です。