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COLUMN

2020.06.26

グループ通算制度について(2)

グループ通算制度は、100%グループ企業間の損益通算等、連結納税の利点を維持しつつ、連結納税特有の事務負担問題を解消する一方、親法人の開始前繰越欠損金をグループ損益通算に利用させないことになりました。グループ通算制度の主な特徴は、以下の通りです。

  1. グループ一体申告から個別申告へ
  2. 個別申告であるため通算法人の修正・更正による他の通算法人への影響の遮断
  3. 損益・欠損金のプロラタ方式による通算
  4. 親法人の開始前繰越欠損金を通算から除外
  5. 開始・加入時の時価評価・繰越欠損金の取り扱いを組織再編成税制と整合させる
  6. 外国税額控除・試験研究開発税制についてはグループ一体課税を存続

また、連結納税を採用している法人がグループ通算制度を採用する場合等移行に伴う取り扱いを明確にするため、主として以下の経過措置が制定されました。

 

  1. 連結納税の承認はグループ通算制度の承認とみなす
  2. 連結法人は、税務署に届出書を提出することにより、単体納税法人になることができる
    (その後5年間は通算制度を適用できない)
  3. 連結納税における連結欠損金個別帰属額を、通算制度における繰越欠損金とみなす
    (連結納税における特定連結欠損金個別帰属額を通算制度における特定欠損金額とみなし、連結納税における非特定連結欠損金個別帰属額を通算制度における特定欠損金額以外とみなす)
  4. 連結法人について、通算制度への移行時に開始に伴う取り扱い(時価評価、繰越欠損金の切り捨て、含み損等の損金算入又は損益通算の制限)は適用されない
  5. 通算制度の開始・加入時の時価評価は令和4年3月31日以後に終了する通算開始・通算加入直前事業年度において適用される
  6. 令和4年3月31日に終了する通算開始・通算加入直前事業年度において、連結親法人が新制度の時価評価対象法人に該当する親法人である場合は、新制度の時価評価除外法人とみなすことができる等の選択が可能

なお、通算制度を適用する場合は、法人税の電子申告義務が課されます。