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COLUMN

2020.01.05

税法のループホール(抜け穴)①

税法の立法過程では想定していない抜け穴的な取引を行い合法な節税が可能になることがあります。租税法律主義(法令に規定がなければ課税せず)の原則に基づき税務執行が行われるため、明確な規定がなければ当局も課税することができないからです。現在の法人税法には納税者の著しく不自然な行為により不当に法人税が減少している場合はその行為を否認して課税できる規定がありますが、著しく不自然な行為でなければ適用されません。

昨年、税法のループホールをついた合法的な税務処理についてマスコミが、課税の公平・担税力の観点から取り上げた事例がありました。 外国企業を買収後、子会社となったその外国企業から日本の親会社へ剰余金の配当を実施させ(外国配当益金不算入制度により配当の95%が免税)、その後、グループ内再編の一環として、その子会社株式を別の外国グループ会社へ譲渡した結果(グループ法人税制の対象外取引のため譲渡損益は損金・益金算入)、株式の買収価格と剰余金の減少により下落した株価による譲渡の結果算定される株式譲渡損が法令に何ら違反することなく損金算入されたのでした。

政府はこのような取引が横行することによる税収減を懸念して即座に税制改正を行う予定です。