2020.07.27
グループ通算制度における損益通算と欠損金の通算について、連結納税制度と比較しながら概要を解説します。
連結納税は、連結法人グループをあたかも一つの法人とみなして連結所得を計算し、連結納税額の負担・受取額を各連結法人に帰属させます。
連結所得計算上の損益通算後所得が発生する場合も、各連結法人の個別の所得・欠損金は存在することになります。
通算制度では、欠損法人の欠損金の合計額を、所得法人の所得金額の比率で各所得法人に配分し、各所得法人の確定申告書上損金算入し、一方、欠損法人はこの損金算入した金額の合計額を欠損法人の欠損金の金額の比率で配分し各欠損法人の確定申告書上益金算入するので、通算後所得が発生する場合は、通算法人に欠損金は存在しません。
連結納税と同様、通算法人の所得を限度として控除できる欠損金である特定欠損金と、その通算法人の所得を限度とせず控除できる非特定欠損金があります。 連結納税の場合は、親法人の連結開始前の繰越欠損金は非特定欠損金でしたが、通算制度では特定欠損金になります。ただし、連結納税から通算制度に移行した場合は、連結納税親法人の繰越欠損金は通算制度において非特定欠損金になります。子法人の開始・加入前の繰越欠損金は連結納税と通算制度のどちらも特定欠損金になります。
連結納税と同様、欠損金の繰越控除限度額は、各通算法人の欠損金の繰越控除前の所得金額(通算制度では損益通算後)の50%相当額の合計になります。
通算法人の欠損金の繰越控除の適用を受ける繰越欠損金は、以下の①及び②の合計額になります。
繰越控除限度額はそれぞれ以下の通りです。
①特定欠損金の控除限度額
各通算法人の損金算入限度額の合計額を、各通算法人の特定欠損金のうち欠損金の繰越控除前の所得に達するまでの金額の比で按分した金額
②非特定欠損金の控除限度額
各通算法人の特定欠損金の繰越控除後の損金算入限度額の合計額を、各通算法人の配分後の非特定欠損金額の比で配分した金額